タイムラプスモニタリングシステム

採卵後に回収できた卵子は、培養液に移され、この中で受精し発育していきます。そして培養液はインキュベーターと呼ばれる専用の機器に入れます。インキュベーターは温度や酸素・二酸化炭素濃度を管理し、最適な条件の下で培養されます。卵子にとって、体外の環境は受精・発育するうえで非常に厳しいものです。そのため、できる限り体内に近い環境をインキュベーターの中に再現しています。 従来の方法では、受精したかどうかを確認する際や、受精卵の発育を観察する際には、インキュベーターから取り出し、顕微鏡下で行います。その時間はわずかではありますが、卵子にとっては大きなストレスがかかります。受精卵の負担を考えると観察は日に1-2回しか行えません。

最近登場した観察システム、タイムラプスモニタリングシステムは、このインキュベーターにカメラ付きの顕微鏡が内蔵されています。設定しておけば、定時的に自動で撮影されるので、培養器から出す必要がありません。また、撮影するにあたり、卵子への負担はほとんどないため、24時間モニタリングすることが可能です。つまり、最適な環境のまま受精卵を観察し続けることが可能なのです。撮影した写真を連続することで、受精卵の発育を動画のように観察できます。

2015年1月より当院でも、このタイムラプスモニタリングシステムを導入しました。これにより、受精の状態を確実に捉えることができ、異常な分割や、異常な成長速度の受精卵も判別できるようになりました。状態のより良い受精卵を選別できることで、妊娠率の向上を目指しています。(台数に制限があるため、現状すべての受精卵をこのシステムで観察できるわけではありません)