冬季の精子持参について
精子は温度変化に敏感です。様々な研究により、精子の保存には室温(20~25℃)程度が最適であることが分かっています。つまり暑くても寒くても影響を受けます。とは言っても、暑さに対してはそこまで心配はいりません。真夏であっても1-2時間は大丈夫ですし、高温になりやすい車内であっても、通常冷房を効かせると思いますので、影響はほぼないです(まさかそのまま放置することはないと思います)。
問題は寒さです。真冬の時期には場所や日によっては0℃を下回ります。報告された研究によると、4℃の状態で3時間置いておくと、運動率が4分の1以下に低下していました。そこまで長い時間外気に触れることはあまりないかと思いますが、実際当院でも12月から2月の冬の時期に行った精液検査を調べてみると精子の状態が低下している症例がありました。
そこで精液の温度低下を防ぐ持参方法をいくつか紹介いたします。
精液の温度低下を防ぐ持参方法
1.服の下に忍ばせて持参
一つ目は、昔ながらですが、服の下に忍ばせて持参頂く方法です。人の体温は36℃前後ですが、密着したとしてもそこまで高温にならず、適温で落ち着きます。不快感はあると思いますが、一番簡便な方法で、特に必要なものはありません。
2.専用の運搬容器を購入
二つ目は、専用の運搬容器を購入頂くことです。専用の物なので安心ですし、温度シールがついているので大体の状態が分かります。5℃以下で30分置いていても精子にほとんど影響がなかったそうです。費用は掛かりますが、年中使っても構いませんし、不安がある方はご利用ください。注意点は使用前にふたを開け適温に温めることです。せっかく容器を使用しても冷たいまま使用すると精子も冷たくなります。
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SEED POD(シードポッド)|TENGAヘルスケア プロダクトサイト
( *注意 ミニサイズでは当院の採精カップは入りません。通常サイズをご購入下さい)
3.スープジャーなどの断熱保温容器を利用
三つ目は、二つ目の代用になりますが、市販されているスープジャーなどの断熱保温容器です。専用容器と構造自体はあまり変わりません。サイズが合うかどうかが問題ですが、購入するとしても専用容器よりは安く手に入ると思います。こちらも温めて使用してください。
4.タオルに包んでから保温バッグに入れる
四つ目は、タオルに包んでから保温バッグに入れる方法です。上記の方法よりは効果は低いかもしれませんが、そのままよりかは確実に温度低下を防ぐことが出来ます。
持参の際の注意点
注意点としては、どの方法であってもカイロなど加温するものは使用禁止です。最初にも書いた通り、高温も精子にとっては有害です。最悪の場合精子が死滅しますので、絶対に使用しないでください。また、温度とは直接は関係ありませんが、採精カップのふたをきちんと閉めることです。検査にせよ、治療に使うにせよ、精液が漏れてしまっては悪影響です。場合によっては使用できない可能性もあります。持参にも不快な思いをされることとなりますので、持参前にもう一度ご確認下さい。