ヒアルロナンリッチな培養液は高齢者の胚発生・妊娠に影響するか

中四国生殖医学会 2014

(濱咲 舞、稲飯 健太郎、神崎 珠里、笠岡 永光)

目的

Vitrolife社のヒアルロナンリッチな培養液が高齢者の培養成績に影響するか検討するため、ヒアルロナンを含まないcook社の培養液を対象培養液とし、年齢ごとに比較検討した。

方法

2011年11月~2014年4月に当院で行った体外受精胚を対象とした。どちらも媒精から胚盤胞培養まで同一系統の培養液を用いた。

結果

Vitrolife群をA群、cook群をB群とし、胚盤胞発生率・良好胚盤胞率・妊娠率・流産率は、30歳以下でA群61.8%・76.3%・46.7%・28.6%、B群67.5%・80.3%・50%・0%、31-35歳でA群64.7%・78.9%・40.5%・26.7%、B群65.7%・80.2%・38.9%・28.6%、36-40歳でA群63.7%・78.0%・32.4%・25.7%、B群70.0%・76.3%・41.0%・31.3%、41歳以上でA群44.4%・71.3%・30.3%・20%、B群43.5%・70.4%・11.1%・50%となった。

考察

A群・B群の培養成績および妊娠流産率はどの年齢においても明らかな差は認めなかった。41歳以上では40歳未満に比べAB群ともに培養成績は有意に下がった。B群においては41歳以上の妊娠率も有意に低下したが、A群においては40歳未満との妊娠率に有意差は認めなかったことより、高齢者の妊娠への関与は否定できない。