貴重な凍結胚盤胞をいかに妊娠に繋げるか ―年齢・子宮内膜厚からのアプローチ―
日本受精着床学会 2013
(濱咲舞 稲飯健太郎 笠岡永光)
目的
患者年齢の高齢化により凍結できる胚盤胞の数が減少している。妊娠の可能性の低い移植を回避して、貴重な凍結胚盤胞をいかに妊娠に繋ぐことができるかを年齢と子宮内膜厚に着目して検討した。
方法
2011年1月から2013年3月までにHRT周期で20日目または21日目に凍結融解胚盤胞移植を行った308周期を対象とした。移植した胚盤胞はGardner分類で2以上とし、1個移植196周期、2個移植112周期であった。子宮内膜厚は生理周期11日目から15日目までに測定した。また患者年齢を4群(25~29歳をA群、30~34歳をB群、35~39歳をC群、40歳以上をD群)に分け、妊娠率と平均子宮内膜厚を比較した。
結果
生理周期11日目から15日目の子宮内膜厚が9mm未満では妊娠率0%(0/8)、9mm以上11mm未満では33.8%(25/74)、11mm以上13mm未満では44.0%(62/141)、13mm以上16mm未満では44.9%(35/78)、16mm以上では14.3%(1/7)となり、それぞれの平均年齢は39.3±3.8歳、35.5±4.6歳、35.8±4.3歳、36.8±4.3歳、39.1±2.6歳だった。流産率に有意差はなかった。
生理周期11日目から15日目での子宮内膜厚が9mm未満では9mm以上16mm未満に比べて有意に妊娠率が低かった。
またA~D群の妊娠率と平均子宮内膜厚はそれぞれA群45.5%・11.3mm、B群46.9%・11.6mm、C群37.2%・12.3mm、D群36.4%・11.9mmと各群で妊娠率と平均子宮内膜厚に有意差は認めなかった。
結論
HRT周期下での凍結胚盤胞移植では、生理周期11日目から15日目までの子宮内膜厚が9mm未満の周期で妊娠率が有意に低いことから、年齢に関係なく、9mm未満の子宮内膜厚での移植を回避することが望ましい。