1978年に英国で始まった体外受精により、日本では現在、毎年6万人近くが誕生しています。体外受精は、卵巣から直接卵子を採取し、体外で受精させた受精卵を子宮の中に戻す方法で、これまでは卵管が詰まっている女性等に対して行われていました。現在では適応範囲も拡大し、男性の精子が少ない場合や、何らかの原因で自然には受精が起こらない場合に対しても、体外受精が積極的に行われています。採卵までの準備→採卵→受精→胚移植、の流れは以下のとおりです。

採卵日を固定して採卵を行うケース(Long法)

1. 体外受精の準備と予約

初めて採卵を希望される方は、まず詳細な治療の流れをご夫婦に説明させていただきます。 十分にご納得いただいた上で体外受精に関する同意書にサインしていただき、採卵を行う日を予約していただきます。

2. ピルの服用

良質な卵子を発育させるために、前周期からピルを21日間服用していただきます(日数は変更になる場合もあります)。

3. 採卵前採血チェック

採血によって体の状態に異常がないかチェックします。また、血液型や感染症の有無も調べます。

4. 点鼻薬の開始

点鼻薬は発育した卵子が自然に排卵しないようにするお薬です。 1日3回両鼻に点鼻します。中止の指示があるまで継続してください。

5. ホルモン値の確認

採卵する月経周期の3日目前後に、採血によってホルモン値を測定します(最適な状態でない場合は採卵をキャンセルすることもあります)。

6. FSH、HMG

FSH、HMGは卵胞を発育させるためのホルモン剤で、9日間程度注射します。 注射は毎日行いますので、自分で注射できるよう事前に指導させていただきます。 また、この間に1、2回来院して頂き、超音波による卵胞測定とホルモン値の測定を行います。

7. HCG

HCGは卵胞がある程度発育した時点で行う注射で、最終的に卵子の成熟を誘導します。 この注射の約36時間後に採卵となります。

8. ご主人

採卵日までの1、2日間は禁欲してください。

採卵日を固定せずに採卵するケース

採卵は麻酔下で行い、30分前後で終わります。
3時間程度お休みいただき、診察後に帰宅できます。

1. 体外受精の準備

初めて採卵を希望される方は、まず詳細な治療の流れをご夫婦に説明させていただきます。 十分にご納得頂いたうえで、体外受精に関する同意書にサインしていただきます。

2. 採卵前採血チェック

採血によって体の状態に異常がないかチェックします。 また、血液型や感染症の有無も調べます。

3. ホルモン値の確認

採卵する周期の月経が開始したら、診療時間内にクリニックまで電話連絡をお願いします。 月経周期の3日目前後に来院して頂き、採血によってホルモン値を測定します(最適な状態でない場合は採卵をキャンセルすることもあります)。

4. 飲み薬の開始

卵胞発育のための飲み薬を5日間服用して頂きます。 飲み終わりごろに一度来院して頂き、超音波による卵胞測定、及びホルモン値の測定を行います。

5. FSH、HMG

FSH、HMGは卵胞を発育させるためのホルモン剤です。 必要に応じて数回注射しますが、自分で注射できるよう事前に指導もさせていただきます。 また、2、3日に一度来院していただき、超音波による卵胞測定と、ホルモン値の測定を行います。

6. アンタゴニスト

アンタゴニストは排卵を抑制する薬です。 採卵前に排卵してしまうことを防止するため、注射させていただく場合もあります。

7. 点鼻薬

点鼻薬により最終的に卵子の成熟を誘導、その約33時間後に採卵となります。

8. ご主人

採卵日までの1、2日間は禁欲して下さい。

受精は当院で行います。
密度勾配法やスイムアップ法などを使い、精子の調整をします。

受精方法には媒精法と顕微授精(ICSI)法があります(併用する場合もあります)。
受精は採卵当日に行います。

受精した卵子を培養し続けると、細胞は分裂を繰り返し、発育してゆきます。 採卵後2〜3日で4〜8分割した受精卵(胚)の状態、あるいは4〜7日まで培養して胚盤胞に育てた状態で胚移植、あるいは凍結保存を行います。

受精卵が発育していく様子
(タイムラプスモニタリングシステム)

採卵後に回収できた卵子は、培養液に移され、この中で受精し発育していきます。そして培養液はインキュベーターと呼ばれる専用の機器に入れます。インキュベーターは温度や酸素・二酸化炭素濃度を管理し、最適な条件の下で培養されます。卵子にとって、体外の環境は受精・発育するうえで非常に厳しいものです。そのため、できる限り体内に近い環境をインキュベーターの中に再現しています。 従来の方法では、受精したかどうかを確認する際や、受精卵の発育を観察する際には、インキュベーターから取り出し、顕微鏡下で行います。その時間はわずかではありますが、卵子にとっては大きなストレスがかかります。受精卵の負担を考えると観察は日に1-2回しか行えません。

※詳しくはこちらから(プチ講座のページに移動します)

受精卵を子宮に戻すことを胚移植といいます。胚移植は細長いチューブに受精卵を吸い込み、超音波で確認しながら子宮の中へ戻します。

移植は1〜2分で終わり、痛みはほとんどありません。移植後の生活も普段通りで結構です。

Kasaoka Mail System

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